「階段の上り下りで膝が痛む」「正座ができなくなった」「朝起きると膝がこわばる」——こうした症状でお悩みの方は、変形性膝関節症かもしれません。この記事では、変形性膝関節症の原因・症状・治療法について、専門医がわかりやすく解説します。
変形性膝関節症とは?
変形性膝関節症とは、膝の関節軟骨がすり減り、骨どうしが直接ぶつかることで痛みや腫れ、変形が生じる病気です。日本では推定2,500万人以上が罹患しているとされており、中高年の方に非常に多い整形外科疾患のひとつです。
膝関節の骨の表面は「軟骨」という弾力のある組織で覆われており、クッションとしての役割を果たしています。しかし加齢や体重負荷、過去のけがなどが重なると、この軟骨が少しずつすり減り、最終的には骨と骨がぶつかり合うようになります。骨が摩擦を受けることで炎症が起き、痛みや腫れが生じます。
変形性膝関節症の原因
変形性膝関節症は、いくつかの要因が重なって発症します。
① 加齢
年齢を重ねると軟骨の修復力が低下し、すり減りが進みやすくなります。50代以降から発症が増え、70代では多くの方に変化が見られます。
② 体重・肥満
膝には体重の約3〜4倍の負荷がかかるといわれています。体重が増えるほど膝への負担も大きくなるため、肥満は発症リスクを高める大きな要因です。
③ 性別(女性に多い)
変形性膝関節症は女性に約2倍多く見られます。筋肉量の少なさや、閉経後のホルモン変化が関節軟骨に影響すると考えられています。
④ 過去のけが・スポーツ歴
半月板損傷や靭帯損傷などの既往がある方は、軟骨へのダメージが蓄積しやすく、発症リスクが高まります。
⑤ O脚・X脚などの骨格の偏り
膝の内側や外側に偏って荷重がかかる骨格は、特定の部位の軟骨を集中的にすり減らします。
変形性膝関節症の症状・進行の段階
変形性膝関節症は徐々に進行します。一般的に「前期→初期→中期→末期」の4段階で進行するとされています。
▲ KL分類(Kellgren-Lawrence分類):変形性膝関節症の重症度分類。グレード0(正常)〜グレード4(末期)で評価します。
「最近、朝起きたときに膝がこわばる」「少し歩いただけで膝が痛む」という方は、早めの受診をおすすめします。早期であるほど、手術をせずに症状をコントロールしやすくなります。
変形性膝関節症の診断方法
診断は、問診・触診・画像検査によって行います。
- レントゲン検査:関節の隙間(軟骨の厚み)や骨の変形を確認します。
- MRI検査:レントゲンでは写らない軟骨・半月板・靭帯の状態を詳しく評価します。初期の変化もとらえることができます。
- 超音波(エコー)検査:関節内の炎症(水腫)の有無をリアルタイムで確認できます。
当院ではオープン型MRIと各診察室に超音波装置を完備しており、「レントゲンで異常なし」と言われた方でも、軟骨や半月板の状態を詳しく調べることができます。
変形性膝関節症の治療法
変形性膝関節症の治療は、大きく「保存療法」と「手術療法」に分けられます。多くの方は保存療法から始め、効果が不十分な場合に手術を検討します。
保存療法(手術をしない治療)
- 運動療法・リハビリ:太もも(大腿四頭筋)の筋力を鍛えることで膝への負担を軽減します。理学療法士による個別プログラムが効果的です。
- 薬物療法:消炎鎮痛薬(内服・外用)で痛みや炎症を抑えます。
- ヒアルロン酸注射:関節内に潤滑成分を補充し、痛みを和らげます。
- 装具療法:足底板やサポーターで膝への偏った荷重を調整します。
新しい治療の選択肢
保存療法で十分な効果が得られない場合も、手術の前にご検討いただける治療法があります。
- PRP療法(多血小板血漿療法):自分の血液から取り出した成長因子を患部に注射し、組織の修復を促す再生医療です。
- ラジオ波治療(末梢神経ラジオ波焼灼療法):膝の痛みを伝える神経に高周波を照射し、痛みを中長期的に緩和します。保険適用で受けられます。
手術療法
変形が進んで日常生活に大きな支障が出ている場合は、手術を検討します。代表的な手術として「高位脛骨骨切り術(骨を切って膝の向きを矯正する)」や「人工膝関節置換術」があります。当院では保存療法から手術まで、同じ医師が一貫して担当します。
日常生活でできること
- 体重管理:体重を1kg減らすと、膝への負担は約3〜4kg減ります
- 太ももの筋トレ:椅子に座った状態で片足をまっすぐ上げるだけでも効果があります
- 和式生活を減らす:正座・しゃがみ込みは膝への負担が大きいため、椅子・洋式トイレへの切り替えをおすすめします
- 杖・サポーターの活用:適切に使うことで痛みが大幅に軽減されます
- 痛みがあるときは安静に:無理に歩き続けると炎症が悪化します
まとめ:「様子を見る」より早めの受診を
変形性膝関節症は、放置すると少しずつ進行します。「年だから仕方ない」と我慢されている方も多いですが、早い段階であれば保存療法で痛みをコントロールし、手術をせずに日常生活を送れるケースがほとんどです。
「膝が痛いけど、どこに行けばいいかわからない」「手術は怖い」という方も、まずは一度ご相談ください。症状の程度や原因を丁寧に診断したうえで、患者さんに合った治療をご提案します。
まえだ整形外科 骨・関節クリニックでは、膝・股関節の専門医が保存療法から手術まで一貫して対応します。オープン型MRI・エコーによる精密診断で、「レントゲンで異常なし」と言われた方の痛みの原因も丁寧に調べます。
※この記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。症状については医師にご相談ください。
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